伏見にある手描京友禅の「岡山工芸」さんに昨年京都市観光協会のメディアパートナーとして見学させていただきました。1968年、岡山耕三さん、武子さんにより創業。武子さんは日本ではじめての手描友禅・女性伝統工芸士であり「京の名工」で、伝統工芸士は3名在籍。現在は長女の二代目岡山摩紀さんが社長に就任。 私も実は8年間和装小物・ファッションバックの世界におりましたが、かつての業界のイメージをさらに昇華するかのように、未来への京友禅の存続・発展を目指しておられます。是非とも、工房見学・友禅染体験、で岡山工芸さんの魅力、ご覧になられたらと思います。
詳細のあと、10月の見学会の模様おつたえいたします!(^o^)
「岡山工芸」(手描京友禅・和装全般の製造、販売)
〒612-0029 京都市伏見区深草西浦町8-2-2
定休日:土日祝日、年末年始 Tel 075-643-4317 / Fax 075-643-4320
<<岡山工芸とは>> ※公式サイトより
京友禅では女性初の伝統工芸士である岡山武子。彼女が追い求めるものは、“女性が着て美しく見えるきものづくり”描く友禅は、柔らかみのある色合いとなり、きものに夢が宿ります。古来からの伝統と文化を継承しつつ、この夢のあるきものを創り出す。私たちはきものを通じて、夢のある毎日をお届けしたいと願っています。
●工房見学
着物の製造工程を動画やパネルを使って説明した後、 工房の見学をしていただきます。 体験はございませんが、ささやかなお土産をご用意しています。ご希望により各種友禅染体験も可能です。
○職人による工房案内、工程説明(パネル・動画)
○大人 2,600円 小人 1,300円(18才以下) おみやげ付
●手描友禅染体験 岡山工芸では職人による工房の見学と手描友禅の体験をしていただくことができます。 4つのコースからお好きなものをお選びください。 近隣に伏見稲荷大社や伏見の酒蔵など観光地も豊富にありますので、京都観光の折に是非お立ち寄りください。
○染額(はがきサイズ、フレーム付、当日持帰り可)3,600円
○ハンカチ(約30×30㎝、送料別)7,200円
○帯揚げ・ストール(約170×30㎝、送料別)18,000円
※国産シルク100%※ハンカチ、帯揚げ(ストール)は蒸し・水洗・縫製等の加工をした後、完成品を発送させて頂きます。(国際配送不可)※価格は税込です。※見学・体験それぞれ30分~1時間程 ○駐車場あり
昨年10月、京都市観光協会のメディアパートとして岡山工芸さんを見学にうかがいました。悠然と言えば。。。堀川高辻などなんとなく中京区?みたいな印象があるのですが、伏見にこんな手描京友禅のお店があったとは知りませんでした。私も伏見なのでこの建物は見覚えあります。
友禅の世界、伏見にもあり!です(^o^)
しっかりしたパンフレットもあり、これと社長様からお聞きしたお話をもとに記事をかかせてもらいます。
単に手描京友禅を仕事とするのでは無く、見学や体験による「身近な存在」という一面も提案する工房は結構西陣では少ないかもしれませんね。

ちなみにこれは「しろ生地」といわれるそうです。
岡山摩紀さん
2013年 二代目社長として就任。 大学卒業後ソフトウェア会社に就職。約二年間勤務した後、岡山工芸(株)へ。営業をはじめ若手職人の育成などに注力している。(公式サイトより)
実は私、ご存じな方もおられるとおもいますが、父がやっていた会社で8年間働いたことがあります。和装小物とファッションバックのジャンルで、1年後からはミシンを使ってデザインをしたり実際バックをつくっていました。そのこともあり、繊維業、業界では「糸へん」におりまして、西陣や、室町によく納品にいってました。ですが正直「男社会」といいましょうか。首脳陣で女性がおられるのも希でしたね。逆に職人さんは圧倒的に女性でした。
実は繊維業、京都のように中小企業が数多ある業界では男性が経営者、ところが、実は女性、奥様が切り盛りしていてほんとのこと言うと、奥様がしっかりしている家族経営のお店は繁盛されていたという印象が強かったです。縁の下の力持ち。。的な。いまでは繊維業も女性経営者も多くなってきたましたが。。。
なおさら、摩紀さんの社長就任はそれこそ岡山工芸の前向きな姿勢もあったのではないでしょうか。一般的な繊維業界のイメージしていた経営者とは異なり、物腰良く、私ら異業種の意見も聞いていただけるような柔軟な経営者ということが、ファーストインプレッションでわかりました。

業界としては弊社は新しいほうで後発。先代が両親だけに生まれたときからこの世界をみておられて、ただ子供の頃は継ぐというイメージはなかったそうです。ただバブルの頃を過ごしたりして新しい世界も興味をもっていたが、家業は「地べたに座っての仕事」だけにギャップのような印象もうけていたそうです。
この話をしていただいていると、外国人らしき人が。。。。
実は妹さんの旦那様がフランス人のピエールさん。パンフレットにも紹介されていてすでに3代目ということで準備されているとのこと。さらにIT関係の仕事についておられたので、総務部の部長として複雑な職人の行程や18000柄ある図案をデータ化して一括管理するシステムを構築されています。
そうなんです。フランスに住んでいた私としてはうれしくて。。。フランスのリヨンに私おりましたが、繊維業がさかんで「ゴブラン織り」は後世の西陣織の機械に影響を与えた街でもありましたから、実は繊維としてもフランスはさかんでしたね。そのピエールさんの目線も期待できるところでして、摩紀さんの流れ、展開をさらに広く伝えていける存在ということが感じ取れました。
ちなみにピエールさんは20歳ごろから日本に滞在されて現在20年ほどおられるとか。さらに。。。ピエールさんの先代がコックさんだったと。。ええ!です(^o^)
ちなみに、友禅は西陣織にくらべてやや、知名度は及ばないとおっしゃってまして、なおさら、摩紀さんとピエールさんの活動はその間口を広めてくださるのでしょうね。
ちなみに創業は昭和43年。。。私が生まれた年なのですよ(^^;)
反物がある部屋は、ほぼ撮影不可能。そういった顧客からの守秘もしっかりなさってます。これは白生地といってベースになる反物。なんとなく懐かしいです。こういうのに不織布をはって、私は鞄を作っていたのですから(^^;)
この反物が職人さんに渡っていき10工程がリレー形式で人から人へ渡されていくそうです。まあ10人が束になって一つの作品ができるのでしょうね。さらにこの工房だけでは作りきれない工程があり、建物外でも工程があるそうです。
大きな蒸し釜が必要なところもあり、大規模な施設も実は必要らしいです。
実はこの商標、私ずっと気になってました。その工程にリンクした絵柄だったそうです。
4つの反物がありますよね。反物をころがして横からみた図。そして真ん中の筋のようなものが友禅を染めるにあたり機材をさしているとのこと。人の手に渡って作られるとのことを「輪切り」状にしてデザイン化されたとのこと。かっこいいですね~と記者さん達がおっしゃってました。
玄関には手描友禅の作品が数点おかれています。優雅ですよね。ここまでくると文化財という領域に見えてきます♪
いままででも友禅はみていますが、これが緻密で上品、それと染めるという工程に「濃淡」があるとはっきりわかる作品です。単に「白」ではなく「赤」がかったり、ぼんやり「赤」だったり、線が赤だったりと様々な表現方法があるということがわかります。西陣織も魅力的ですが、それとはまた異なる美しさがあります。
ここでお母様のお話もおききしました。岡山武子さん。絵をかくのがお好きで中学生のころは雑貨商の尾筒鯛をされていたそうです。勉強するぐらいなら職人を目指したいとなり清水焼の絵付けを学び仕事をはじめられました。4年後立ち寄った着物の展示会で運命の出会いがあり「京友禅」に魅了されたそうです。その後陶器の絵付けの仕事をやめて新しい友禅の工房に移籍。
当初は「見て盗め」みたいな世界だったそうで、なんとなく料理界とも似てる職人の世界なのでしょうね。長らく修行されて、あるとき問屋の番頭の目の留まり賞賛されて、それからますます面白くなっていかれたそうです。「好きだから」という言葉を胸に熟練の域に。やはり仕事というより「好き」という流れからの成長ははやいものですから、そういう波にのられたということでしょうね。辛くてもやめようという考えはなかったそうです。
その後別の工房でつとめておられた耕三さんと25歳のときに独立。ご夫婦であっていい意味でのライバルということで切磋琢磨されました。利益追求だけでは業界は潰れる。だからこそ継承もひとつのテーマだったのかもしれませんね。その後現在の摩紀さんが継がれました。そして現在は摩紀さんの妹婿のピエールさんや多くのスタッフと共に現在はあるわけで、まだ短時間しかいませんでしたが、そのご両親の流れを岡山工芸さんは脈々と受け継がれているのだなあと感じました。
そして、このお話のあと資料室へ。。。
エレベーターで、記者さんと、そういうことですか~みたいな。
終始和やかな時間でしたね。
それでは後半いきます!
ライブラリーといいましょうか。資料がすごいですね。しかもどれも良くご覧になられている感じ。これだけの蔵書があれば図書館開けます(^o^) この日はこの会社の協力者もおられました。いとへん、の、商売は「人とのつながり」も大切なのですよ。
この蔵書は自らのものだけでなく、廃業されるお店からいただいたものも多数あるそうです。記者からの質問もあり、謝礼もされたそうで、「つながりの極み」ともいうべき風景ですね。本にはバーコードや整理番号もあり、コロナ禍では特に余った時間で整理されたそうです。
いただいた本はなかには複数同じのがありますが、それはそれで倉庫で保管されています。また当初は創業も業界からみたら若いので、本はおもったほどなかったそうです。古本屋さんをまわられたのですが、実は主にアジアの外国人が買い占めている面もあったそうです。古本にも影響あるのですね。。。。
こちらで動画をみさせてもらいました。
ドキュメントの特集でまた見学のときにみせてもらえると思いますし、実はサイトで公式にご覧いただけます。
そして真ん中にあるテーブルにこちらの資料が。。。
染料の制作も色によってはむずかしいのもあり、希少性の色もあるとか。色々説明お聞きしましたが、これはかなり高度な素材選別、制作が必要ですね。縁周り、ゴムのりを使って制作されるとのこと。
一枚一枚、制作過程をおしえていただきます。
温度差、野菜室がおすすめとか、気温によっても状態がかわるそうです。
弾き初めやさん、蒸し、課程もありますか。
ただ、塗ってるだけでなく、発色するのを想定するとか熟練いりますね。
「いろをさす」生地に色をいれていく。
徐々に鮮明になってきますね。
こういうことだったのか。。と。はじめから線もあるのかと。
葉脈がある!!と(^o^)
色をおとして、色をさらに加える。
赤い生地は赤い線。なるほど。
地下水で色を落とす。
友禅も三大友禅あるそうです。加賀、京都、江戸あるそうです。
物量は圧倒的に京都らしく、江戸時代発祥、京都の人からはじまったそうです。
京都はこの工程以上に「きんさい」というのもあり、さらに加工されます。
きんこま、技法、それを複合的におこない総合的に美しく。。
椿の赤も、下塗りのころから考えないとうまく色がのらないとのこと。
つまり、一挙に色をつけるのではなく重ねる、発色、洗う、乗せる。。。
これは時間がかかりすぎますね。。なおさら計画的に制作しないと
まともな作品に仕上がらないと感じました。
こうやって見学でお話をしていただけると
さらに友禅染、手描友禅の魅力がわかります。
これからデザインの部屋に案内されました。
近未来のエフィスのように白基調に電子プリンターやパソコンがおかれてましたね。かつて帯問屋さんに出入りしていましたが、反物や紙でくるまれた資料がわんさと重ねてある資料室は見たことありますが、タンスのように資料に重力をかけることなくおいているのが、永久保存、を考えてのことでしょうね。
こちらには友禅グッズの在庫もあり、見学、友禅教室でも購入できます。
淡い友禅。よくみたら、ロゴのようなものも見受けられます。
これも友禅なのですね~。グラフィックにもみえそうですが、何かかなり異なります。躍動的な描きかた。この生地をみせてもらって、もっとも「人の手」によるものがよくわかります。例えるなら水墨画、ですね。奥行きがあり、繊細かつ優雅です♪
そして、工房、作業場と、友禅教室へ。。。
え?同じ空間と思いました!!
まず驚いたのが、一般の方が作業する教室、体験と工房が同じ場所なんです。。。
これはあまりみたことがないですね。
清水焼の絵付けでも、職人さんどころかバイトさんが講師で、工房と体験は
違う部屋というのが普通でして。。。
ここはすぐよこで「職人」さんがおられて作業されてます。
一見、職人さん、体験者じゃまなんじゃ~。と思いましたが
千本玉寿軒さんも実はカフェをされていて、職人さんとお客様が
つながる空間をつくっておられます。
日々、ある意味同じ空間で黙々と。。。
それより定期的に見学にこられたりするのも、気分転換や
見られることにより、緊張感もでる。
ということなのかもしれませんね。
なにより、体験者が、職人さんとおなじ空間にいるなんて。
素敵です(^o^)
職人さんの道具をまじまじと。
私も7年ミシン職人していましたが、物を大切にするようにと工場長から
いわれたことを思い出しました。
古い筆も実は一番書きやすいとか。。。
それでもしっかり、洗われ、美しく作業されてますね。
音がしない(^o^)
すこしこえかけさせてもらいましたが、
張り詰めた空気とおもいきや
気さくに質問に応えていただきました。
年齢層、幅広く、若い方から年配の方まで。
志願されるかたは、どの年齢層にもおられますね。
摩紀さんにお聞きすると、職人さんの人数は多くおられますが
もし、ご興味おありで、はじめての方も是非
相談させてくださいとのことでした。
つまり、やるきある、職人さんを育てたいとのこと。
なんとなく入りにくそうな「職人の世界」ですが
歓迎されていますよ。
さて体験教室のブースにきました。
ちょっと露光が。。。
暗いですが、体験といっても本格的な手描友禅を体験できます。
詳しくは公式サイトにて。
結構収容人数あるかなと思っています。
友禅持ち帰りはドライヤーなどでかわかしてから
持ち帰ることができます。
体験だけ、見学だけ、両方とももできます!
時間に併せて調整できますとのことでした。
それと職人さんもそうですがそろそろランチらしく
休憩と思ったら、ちゃんと染料にラップして行かれてます。
乾燥すると斑もできるのでしょうね。
工房をみているだけでも、興味深いのですが、どれだけテクノロジーやロボットが進化するとしても、やはり友禅は最終的には「マンパワー」だと確信いたしました。どれだけコピーが横行しても真似できない「繊細さ」があります。それもこのように整然とした空間で生じるのですね。風もなく温度も一定。そういう聖地が好まれる手描友禅の世界をみさせていただきました!(^o^)
岡山摩紀さん、職人の話で「来る方、拒みません!」とおっしゃってました。やってみたい方、是非とのことでした。最初はまさにこの仕事があうか、お試し・修行、期間があり、その後実際採用されるような流れになるそうです。続くか続かないかも当初はわからないそうですが、特に学歴、前職、スキル、キャリアも関係なくおこしくださいとのことでした。
皆さん、いかがだったでしょうか!
一度見学として、観光の方、学生さん、是非お越しください。
さらに体験教室で、友禅のすばらしさを作品として
持ち帰り、すばらしいお土産製作も是非!!
岡山工芸さんを京都グルメタクシーツアーに盛り込む
こともできますので、よろしくお願い申し上げます!
最後に、昨年、行われた岡山工芸さんの作品展、是非ご覧くださいね。
名旅館、南禅寺菊水さんで行われた友禅染展 10月1日~14日(すでに終了)
そのときの画像をご紹介しております。
「着物に描く夢」ぜひ、岡山工芸さん!お越しください!!
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