2/6に行われた「京都ならではの伝統芸能コンテンツの発掘」をテーマに、烏丸竹屋町の嘉祥閣へご紹介いただきました。能楽の解説とミニ公演を交えて市中に隠れた能楽堂、能楽ゆかりの名所や伝統文化を知るための貴重な時間で、以前レポートさせていただいた「市民狂言会」につづき、京都市のメディアパートナーとして、今回気がついたことを含め特集させていただきます。
「能楽鑑賞」10時~ 11時40分・能楽と観光について観光関連事業者の視点からお話・能の見方・楽しみ方を華麗な装束と合わせて解説・京都ゆかりの二曲「胡蝶」「雷電」のミニ公演・Q&A
確かにこの建物みかけたことがありました。ただメイン道路から一筋はいったところ。以前MKタクシーにいたころは能楽堂へはよ無線配車でいっていました。観世会館、大江能楽堂、金剛能楽堂など。。。ただ実はこういった中規模、小規模の能舞台は結構あるそうで、たとえば貸し切って鑑賞する場合は、こういった規模の能舞台のほうが一体感があるともおっしゃってました。
間口は狭いのですが、なかにはいってみれば広い。そして市民狂言会でもレクチャーうけたどおりこの松はあくまで風景でもなく「ただ書いてある」ということらしく、物語でこれが風景として使用されることはないそうです。
この松も、左から徐々に大きくなっているそうです。遠近感ですね。
参考資料としてこちらをいただきました。それに詳しく書かれていて、是非いかれたときはこれをお求めください。中身の転載は許可がいるので割愛いたします。
現在はそれぞれ能舞台によって席の形状はことなりますが、いまや椅子主流で座布団に無理に座らなくて大丈夫です。このあたりもちょっと躊躇されている方もおられると思いますが、柔軟に対応してくれます。
ちなみにこの座布団の席は最高クラス。演者と目が合います(^^;)
結構気になったのが、この白州の部分。特にこの石はいったい?これ聞くの忘れてましたが、何かあるのでしょうね。ちなみにどうして白州があるのかは、あくまで舞台が明るくなるように。。というニュアンスで聞いてます。反射ですね。
お話をしてくださったのは、井上裕久さんです。11代井上家当主。京都能楽会理事長。実はテレビでお見かけしたことがありますが、私自身は能楽、全く知らないのでおそらく能楽の世界ではもっとも著名な方なのでしょうね。そういうこともあり、このレポはあくまで「素人」からの目線ですのであしからず。ご理解くださいませ。
そして、このワークショップは異例のことで、装束の着付けを楽屋ではなくこちらでさらに「撮影可能」で披露され、井上さんが解説を担当されました。
実は基本能舞台は、撮影禁止で、特に演目をされているときは完全禁止となります。
非常に興味深い風景。これ、思うのですが、毎回やってもらえたら。。。まあ無理ですが、装束は重ね着の連続ですね。十二単まではいかないものの、重量は増すと思います。体力も必要な感じがいたします。
かつて私は「和装小物」を扱っている会社(実家ですが)におりましたので重さもわかりますが、この装束は歴史的な流れもおしえてくれますね。そのあたり海外の方も興味津々だと思いますし、誤った着物の知識もあるのなら、ここで本物の姿を垣間見ることができますね。
意外と、テキパキと、着付けのスピードが驚くほど速い。たしか、ストーリーのなかで着替える演目もあるときいたことがあります。一人何役もあったりと、着付け、着替えは一つの裏方さんにとっても山場かもしれません。それと「音」が静か。さらに手早くしているのに着物を落としたり、締め上げる音さえもしません。これも驚いたこと。
井上さんが能面のことやかぶり物、の話をされています。面がついている、ついてないなど実は目が見える役柄もあるとのこと。30分ほど解説をいただきました。
このあと催される「胡蝶」「雷電」の演目の解説に入りました。最初の「胡蝶」は頭に「蝶」をつけてあるので、人が「蝶」を頭に乗せながら演じる。その蝶が花のまわりを飛んで、どういう動きをするか注目してほしいとおっしゃってました。
これで一旦、演者さんは奥へいかれました。狂言会でもありましたが、やはり解説があるとありがたいです。
ちょっと見えにくいですが、能舞台、席のエリアは暗めになっています。
●胡蝶
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「胡蝶」と「雷電」のダイジェストで最も盛り上がる部分だけを演じていただいたようです。対照的な演目で、「胡蝶」はライトな感じでどちらかというと明るいイメージは若干ありました。優雅に舞う蝶が主人公。落ち着いて見ることができました。
「雷電」は反面躍動的、憤怒、戦いという勇ましい物語。菅原道真が僧侶と対決するという感じでしょうか。とにかく激怒?という勢いが全面に伝わってきます。それこそ、怒りがストレートに向かってくる怨念めいた演舞。とにかく面をしているのに「怒ってる」というところが興味深く、ある意味、怒りをボディーランゲージする人はいますが、そのイメージも感じました。
とにかく、面白かった。
素人でも「解説」を読んだり聞いたりしたら十分楽しめますよ。
それと「ビジネスのヒント」も人によってはあるかもしれませんね。演者の間合いや集中力、人の手でしかなしえない表現力は、明日からの仕事に張りを生んだり、心や考えに少なからず影響があるものと思います。人が演じる、それを感じるということは「スマホ世代」となったいまではバーチャルにはない魅力が能楽にはありますね。そういった精神を集中するコンテンツとしてじっくり舞台をみて、自らに覚醒させることも素敵なことだと思いました。
この演者さん、有松さんとおっしゃいますが、本当に「一点」をみつめて、脇目降らないし。。。これはなかなか大変なお仕事だと思ったり。いや、おそらく「仕事」のため、というポテンシャルではやっていけない部分があります。私のグルメタクシーもそうですが「好き」というレベルでやらないとできない伝統芸能ですね。
このあと、京都市観光協会のすすめもあり、交流会に参加させていただき質問も複数させていただきました。そのとき驚いたのが能楽の世界はそれぞれ金剛流や観世流など、流派がありますが独立して個々にやっているのかと思いきや、交流会にそれぞれのトップが集まっておられるのにびっくりで、組織が大きいのでそう集まりにくいのかなあと思っておりました。団結されてますしおそらく同じ想いで「能楽」を継承されているのでしょうね。交流会、私は「能楽や狂言の方に発声練習を教わっている方がいるが、やはり健康などに影響があるのでしょうか?」と。。井上さんは、声を出すことに有利な点があるとおっしゃってました。実生活では普通ですが能楽では「生活に張りが生まれる」みたいなことおっしゃてました。「声をださない時期が長引くと体調わるくなるとかありますか?」は無いですと(^^;) まあでもこんな素人に真剣に回答していただいたことは感謝です。
それと、インバウンド対応のホテルや旅行会社の方も多く、海外の観光客も「能楽」は注目しているとのことで需要も益々ありそうですね。ただ、こぼれ話といいますか、ある方が「床が冷たいだけで帰ってしまうセレブも希におられる」で吹き出してしまいました。。そういう価値観の方もセレブそうにはいそうですね。完全に接待しなければ駄目な状況でもあるので「冷たいもの」と思ってもらいたいですし、反対に対応すべきところでもあるでしょうね。有意義な交流会でした。
その交流会でもっとも気になった話があります。
現在、流派、つまり能楽師の家庭に生まれた子供は継承に前向きで親と同じ伝統芸能を志す人は多い。反面、親が能楽関係でない、ある意味「一般」枠の方が圧倒的に少なくなったとのこと。つまり初めてこの世界に入る人が減ってしまったとのこと。
言い換えると、伝統芸能のなかで育った人は継承がしっかりなされている。つまり伝統芸能の良さが生まれてから接してる人、が該当ということですね。ところが私らのような親が別の仕事をしていて新たに入るということに難しさがある。ということです。かといって門徒を閉ざしているわけでもなく。。。。厳しい世界ではあるけれども別段「一般人」を厳しく見ているわけでもない状況ではあると思われますね。
そこで私なりに考えたことをお伝えしますね。
テレビでみる「能楽」と実際生で見る「能楽」は別物と考えます。
●インフルエンサーにも協力してもらう。それには。。。
ファン層はすでに能楽も安定はしていると思いますが、さらなるファン層をつくるべきで、それには「能楽」を能舞台でみてもらうことがすべて。そのあと伝統芸能を継承するだけでなく「鑑賞」することによって「能楽を支える」ファンを増やして、さらに盛り上げを見せれば、そのなかで「能楽師」をやりたいと言う人も増えてくるはずです。
まずは「能楽鑑賞」をする機会を増やすことだと思います。
それには、テレビやラジオの露出を増やすだけでなく、見てもらうための仕掛け、が必要となります。たとえば今拡散能力が抜群にある「インフルエンサー」ですね。私はプチインフルエンサーですが、中には芸能人並に拡散できる方がおられます。
ですが。。。。動画が撮れない。そうなんです、狂言も能楽も、それができないのです。そこで提案なのですが、インフルエンサーに集まってもらったときに、演目の一部を動画撮影可能にする、ということですね。動画の中にティックトックやYouTubeであるならショートもあるのでほんの数分の部分を切り取って演じてもらってもいいでしょうね。
静止画ではインフルエンサーは動きません。ので。。。。
是非ともそれは検討いただけたらと思いますし、あとは現在もされている、解説を演じる前に「初心者でもわかる」能楽にすべきでしょうね。それと、椅子席、床暖房もできれば充実させたいです。
それともう一点。
●インバウンド以上に日本人のファン層獲得に尽力してもらいたい。
海外の方は、セレブ層もあり「能楽」はかなりポピュラーな鑑賞会でもありますが、母国に帰られたらそれこそ通えませんね。つまり能楽は毎週のように各地でやっているので、やはり住民が支える「能楽」であるべきと考えます。
私も6歳連れて映画館には行きますが、現在「音響効果」だけでなく椅子が動いたり香りがでてくるシアターさえあります。ですが、もう限界がきているぐらいこれ以上の発展性は一旦おさまったかなあと思っています。
ところが映像ではいかなるものも表現できる状態にはなっているものの、いまだにミュージカルやコンサートがはやっているということもありますね。生のすごさ、しかも古典芸能はおそらく今の若い人にとって「斬新極まりない」という状況になっていると確信しています。
人が魂を掲げて、一心不乱に演じる能楽。
こういう「アナログ」のすごさをもしかしたら
探し求めているのかもしれません。
いかがでしょうか。ありきたりなことを言っているのかもしれませんが、是非とも今一度皆さんもお考えいただき、「能舞台へGO」してもらいたいです。私は何度が能舞台を伏見稲荷でもみたことがありますが、間近で能舞台でみたことは今回はじめてです。そのときの「臨場感」は半端なく、いまだに胸にずしんと声が残り続けています。
何かにふっきれたような、爽快な印象。。
「能楽鑑賞」はその、今の世界観を
さらに覚醒してくれるような気がいたします。
これをご覧の京都の方々、
そして観光のお客様、いい機会に
ぜひ、能楽鑑賞、いかがでしょうか!
さて、そこで素敵な「能楽鑑賞」「能楽体験プログラム」がございます。
●能楽舎 河村晴久オフシャルサイト
こちらではプライベートプランやグループプランがあります。
外国語対応についても相談されてもいいでしょうね。
●嘉祥閣 公式サイト
今回、ブランディング会場として伺った能楽堂です。
●大江能楽堂ホームページ
修学旅行向きの公演もなさっています。
二回 5月6日(休)13時始 能・頼政 鞍馬天狗 狂言・舎弟
三回 9月15日(祝)17時半始 能・朝長 安達原 狂言・お冷し
1回目はすでに終了しておりますが、上記も是非。
●金剛能楽堂
3月9日 金剛定期能
4月27日 「安宅」
●京都観世会館オフィシャルサイト
2月21日 「国栖」全席指定
4月6日 「玄象」杉浦能公演
●大津市伝統工芸会館
3月23日「望月」
是非とも「能楽鑑賞」ご参加いかがでしょうか。伝統芸能のすばらしさを目の前で見ていただいて体感していただきたいです。京都グルメタクシーのツアーでも盛り込めます(チケットのお手配は各自でお願いいたします)よろしくお願い申し上げます!