御料理 はやし (おりょうりはやし)
075-213-4409
京都府京都市上京区梶井町448-61
11:30~13:30(L.O)
17:30~19:30(L.O)
定休日水曜日
昼 4000(弁当) 6000 8000
夜 11000 13000 16000 18000 20000 25000 税サ別(20%)
※写真について カウンターは原則撮影禁止(1組しかいないときは可能)座敷は撮影OK ★今回はカウンターは私だけでした。というよりその日を狙いました。
昔はここに立つだけで緊張したものです。かつて私も新人タクシードライバーだったので、当時は店の情報もさほどなく勉強中でした。かといってここが初級というわけでもなく、かつて美山荘送迎のチームに入っていて、そのグループの上司に「ここをまずおすすめするように」ということで良く利用させてもらいました。ただミシュラン掲載後、かなりの人気店になってしまい、予約が入りにくくなったのと他のお店情報もかなり増えたので、いつしか疎遠になっていましたね。特に印象が悪くなったわけでもなく、知らない間に遠のいた経験、そんな店だれでもありますよね。
6月30日 コロナが若干山場を超えて少し落ち着いたころ、ダメ元で電話したらすんなり、しかもカウンターが空いていました。この日は11000円のもっとも手頃なコースをオーダーしました。
雨の日の出町柳、出町輸入食品が近くにあります。
なつかしい、李青さんを通って。。。
林さんに到着。以前より森が増えたような(^_^)
コロナ対策もあり、この日のカウンターは私1人だけ。個室は数組入ってますが、多分通常のシーズンならこんなことはないですね。
紫蘇茶でお出迎え♪
そのあとジンジャーエール。。。
●じゅんさい
葉蓋をとって召し上がります。かなりのシンプルさ。お吸い物にじゅんさいが浮かんでいるという印象ですが、素材そのものの味を感じるならこれ以上の演出はないかなあと♪
●八寸
別項生姜 松葉刺し
一寸豆
小芋
鱧の子缶
金糸巻き
川えび
蛸 三杯酢漬け
守口大根
最近は大型の八寸をみていましたが、ここのシンプルさも見事です。総じて京風ですが、どれも個性がありメリハリある欲張りな京八寸ということでしょうね。
●蕗の薹味噌
非常に山奥の風味という感じ。この苦みは摘み草料理の代表的な味ですが、ピリリと風味を主張してきます。
●吸い物 鱧 白菜と柚子
これは究極、たしか店主は関東のお客さんに、味がないと言われたとか。おそらく京都の人もそう思う人がいるのかもしれません。ただこの鱧にこの薄味は適切。ほのかな白菜の薄切りとともに鼻に抜ける香りを楽しむ領域のおいしさ。
●刺身
鱧
よこわ
けんさき烏賊
湯葉 山芋
梅肉酢
どれも新鮮、そしてバランスのとれた内容です。照明が若干暗いのでこういう感じにはなりましたが、この照度はあるいみここの個性かもしれませんね。
器もよろし♪
●賀茂茄子の胡麻餡かけ
このまったりとした食感。胡麻のきつすぎない風味も良好。
●寿司
新生姜酢漬け 鰯を笹でつけたもの
爽快さ、生きている恵みを感じる味。臭みなくうまみあり。
握りの究極。割烹スタイルのいいところ満載のひと皿。
●すずなり鮪
と説明ありましたが、検索してもでてきません。ここは次回聞いてみることに(^_^)
●まながつおの幽庵漬け
若干濃いめに風味付け 王道的なメニューですね。強めの火入れに見えますが中がふわっと白身鮮やか。抜群の柔らかさがあります。
松葉にささったのが「ゆべし」
金沢の御菓子がモチーフで進化したのがこれ。
水尾の柚子 道明寺 味噌 胡桃を加えて→酒・味醂 でのばして 半年干すを加えた物らしい。黄色→真っ黒になり寒天状になっています。なにか古来の味。「蘇」に似た風味。これは保存食としてもかつてあったようです。こういうの。誠にストライクな古代グルメ。
ちょっと休憩(^_^)
左手には趣味のいい家具がおかれています。今思うに以前より広くなったのではないか?と問いかけたら何も変わっていないとのこと。私の体が小さくなったのか・・・
カウンターのど真ん中。店主とはほぼマンツーマンでした。こんなことコロナの影響がなかったらないわけで。店主はスタッフとはソーシャルディスタンスはまもられていた。というよりこれだけカウンターが奥行きあれば申し分ないですね。
ちなみに、このお店は日本酒はこれ一種類だけだと。。。大胆。しかも私の地元のしょうとくさんのオリジナルブランド。これお土産で買えるのかな?ここにしかないお酒だそうです。ちなみにビール等は普通にあります。
●天ぷら 鮎 海老(雲丹衣で揚げた物)アスパラ
★だし塩 というのがでてきました。塩に出汁をいれてたいたもの。山椒塩と同様の作り方。普通の塩と違うのは後味。最初は塩気を当然感じるが余韻がだしの風味という二段構造に思える。
これは真似できない。。。。というぐらい見事な揚げ方。それに贅沢な雲丹衣の海老。旬のアスパラのシャキシャキ感で言うことなしですね。塩の重要さもわかる料理です。
この塩気ある料理のあとにほどなくお茶がでてくる。これが渋いサービスかなあと思いました。
●鱸 あわびの肝
鮑の肝を裏ごしてメリケン粉とおかき粉を加えた物。
三杯酢 醤油 酢 甘い出汁で割った物。
二杯酢 醤油 酢 だけ。
店主のきめ細かさ。これを半分ずつ加えて 半ば、2.5杯酢にしたものを液体に使っている。二杯酢だときつい、三杯酢だとすこしやさしい。その間!といわんばかりに説明してくれました。そう、この料理は本体の鱸と鮑肝だけでは収まらない。この液体があってこその料理。
●香の物
●お茶漬け
おにぎり状になっていますね。このだしも究極的な薄味。しかしベストマッチなもので香の物でしっかりおぎなったり、また塩気を求めない方にも真っ当な構成。こういう「京風の美学」がマッチしていますね。
●御菓子 この前に「青梅甘煮」がでてましたが撮影忘れ。
この上記の御菓子は「甘々湯葉でつくった甘味」だそうで。。。
湯葉菓子は結構ここでメジャーらしいですが、豆乳をうまく使った料理でこれを湯葉と気がつく人はあまりいないでしょうね。おいしいしきな粉もいい仕事しています♪
●抹茶
もう20年以上うかがってないでしょうか。店主とは私の上司だったタクシードライバーの話にもなり、私自身のことはもちろん覚えておられないのですが懐かしいバブルの頃の話などになりました。以前は北区で商売されていましたが、ここを高額で購入したので若い頃は必死で仕事しましたよと。コロナで長らく店を閉めたが、実はこれだけの長い休暇をもらったことがなかったらしい。ある意味休ませてもらってゆっくりされたようです。ただ復帰できるのかという不安も持たれてまして、やっぱり職人さんだなあと思いました。
今回は撮影OK。カウンターは基本NGですが、1組ならOKだそうです。ダメな理由も詳しくききました。「撮影されると会話も人も邪魔をする」ということで、特に会話が途絶えてしまうのが店主にとってもお客にとってもよろしくない。と考えられました。「1組なら遠慮無く撮って」とあっさり。このあたりが一見寡黙そうに見える店主ですが、実は結構気さくにしゃべってくれるのです。業界のこと、京都のこと、そして今回は「京都グルメタクシー」の肩書きをお伝えしましたが、当然ご存じなくて一から説明するもとても興味深く聞いてもらいました。
かつて数年前まで毎正月年賀状をくださってましたので、いつか伺わねばと思ってました。そういう意味で懐かしい訪問となりましたね。(ちなみに年賀状は5年ほど前からすべて止められたそうです)
さて、料理ですが、まさしく京料理。これを違うと言う人は皆無でしょうね。基本をしっかりおさえられているのに、「ゆべし」「雲丹衣」「だし塩」に至ってはマニアックななかに伝統をアピールしたり、「八寸」のように枝葉切り捨てた王道の盛り合わせをつくってみたり好奇心揺さぶられる料理が多数ありました。感じることは、京料理そのもの、余計な物はない、愛嬌あるしかけ、聞き手にもなる店主、忠実なスタッフ、という感じで、総じて「京料理」をシンプルに味わうならここだと思いました。
現状コロナが終息すればまた予約しにくい状況が生まれるかもしれませんので、今がチャンスなのかもしれません。ミシュラン掲載で大きく人気の度数があがりましたが、20年以上前に伺った時と「何ら変わってない」というのが強い印象として今回残っています。やっぱりこういう店がいいですね。最近、グルメブロガー、ライターは「新店舗」ばかりに目をやりアクセス数を誇らしげに報告するタイプの人たちがいますが、やはりこういった燻し銀のお店を是非紹介してもらいたいですね。
御料理はやしにいくなら、「まずはカウンター狙いで」と付け加えて終わりたいと思います。林さんの料理はがっつり京都を感じますよ。是非皆さんも楽しんでくださいね。
(追)これ帰り際にかいていただきました。
こんな字ですよ~と。これたぶん雲丹の蓋(^_^)