言葉は時として武器になり、花束となる。
完全に煩悩がない人などいないだろう。人はいろいろなことがあって成長し挫折する、また立ち直って、そして時には開き直る。それも解決の方法なら大いに活用すべきで、この世にすべてがうまくいく人などありえない。ただその短所に自らが気がつき改善できる術をもったものは明るい未来がまっている。それに気が付かない人はいつまでも悩み同じことを繰り返すだろう。要は考え方次第で未来は開ける。
そんなことを考えさせられることが先日起こりました。
ある住宅街の公園近くで停車してしばらく得意先から頂いた着信を頼りに、お電話をしていた直後でした。その公園の隣には保育園がありちょうど17時ごろだったので多くの車が送迎に訪れていました。
保育園の前には路上駐車で5台程度とまれますが、それ以上だと隣の公園の周辺に停めることになります。その道は一台どちらかに停めると車が通れなくなります。つまり通路はあくものの、たとえば向かい側に駐車すると反対側の車との間で通過ができなくなります。当然、最初に停めた人に優先権がありますので、停めると交通の妨げになるのならその車は別の場所にとめなくてはならないです。私は公園の南側に停車してお客様の詳細をメモをしていた矢先のことです。停める場所がないのか真向いに停めてしまった方がおられました。当然このままだと車の通行の妨げになります。下記はその車から降りられた女性とのやりとりです。
わたし「すいません、そこにとめられると車が通れなくなりますが。。。」
相手 「今から子供むかえいにいくんや!」
相手 「じゃまならさっさと移動したらどうや!」
わたし「・・・・・・・」
こういうことでした。
当然、後ろから車が来たので私が移動しました。
確かに私も育児しているのでお気持ちはわかりますが、いくらなんでもそれはないかなあと。実はその保育園周辺のお得意先がおられて、先月もお迎えしましたが、「もうあきらめてる」とおっしゃってました。路地の奥の方でお母様がデイサービスから帰ってきても駐車ができなく困っておられたとのこと。送迎によって周辺の生活が乱れている。それだけでなく駐車している人が開き直っていることが最も問題である。
やってはいけない流れだとおもいました。
ただ、これ、簡単なことなのですよね。もし相手がこう言ってくれたら
「これから保育園に迎えにいくのでどうしてもここに停めたいので、移動してもらえますか?」
なんて声かけてもらったら、警察来たら知らせるから遠慮なくいってきてよ!(ここが駐車禁止かどうか見てませんが)喜んで移動しますよ!と私は返事したに違いない。でも。。。。こんな流れになったのでした。育児ハラスメントというべきか。「こちらは育児で忙しいんだ!」みたいな感じに見えました。ただ逆の立場で人の車移動させてまで自身の子供を迎えに行くなんて。。。。私には考えられないですね。でも世の中には常識が通用しない領域もあるのでしょうね。自戒も含め考えさせられることでした。もしそこで、反論よりも同意が相手に好意的に動いてくれるきっかけになると気がつかれたら、またいい出会いにもなったかと思うと残念です。
さて、今日そんなことを思い出しながら朝チャンネルをつけるとフランスの料理修行でお世話になったフランス本土で「ツールドフランス」が行われている映像を家族でみました。娘も息子もはじめての自転車レース。この日は第11ステージで、先行したボドナルを王者キッテルが追いかけるという展開でした。ボドナルはスタート直後から大ダッシュで、メイングループを引きはなし、もう単独優勝と思っていたら。。。。なんとメイングループが30キロ手前ぐらいから猛スピードで加速。結局ゴール手前200mで追いつきゴール直前でキッテルが勝利。劇的な幕切れとなりました。最後に抜かれたボドナルも英雄でインタビューに答えてました。
「最後の200Mが長かった。。。」と苦笑い。
息子も「かっこえ~」と喜んでました。この映像を見て先日の保育園の件が一挙に吹っ飛びました。こんな素敵なコメントもあるものかと。一見普通のコメントに見えますが、この一言が壮絶なレースの感動をひとつにまとめたコメントなのでした。少なからず小1の息子には感動を与えたことは間違いないです。
雲泥の差。売り言葉に買い言葉。
言葉は時として武器になり、花束になる。
タクシー業務は旅客運輸業ですが、私は、運輸業とは思っていません。サービス業だと思っています。乗って頂いた方が到着地にたどり着くまで、快適に爽快に楽しくなって頂くよう努力していますし、言葉使いは綺麗ではないかもしれませんが、十分配慮してお話ししているつもりです。人はいろいろなことを考え感じるわけで、そのきっかけは話し手の言葉一つで決まっていくことを嫌というほど学びました。相手の気持ちを感じることができないなら、それは接客業として失格ですから。
タクシーはエンターテイメント。
ワンメーターのお客様にも最高の京都をご紹介したく、全力を尽くしてお供したいと思っております。話ながくなりましたが、これからもラジオ出演を通じ「話をする練習」を養い、日々の営業に役立てたいと思っております。最初の話も女性が、決して本心で言ったことではないと信じております。いつかおっしゃたことを考え直してもらえたらいいですね。そうなれば相乗効果で、最終的にみんなが楽しくなる。そういう世界をタクシー業界からも広めていきたいと思っております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
京都グルメタクシー 岩間孝志