☆☆☆ スポンタネ
075-874-5551
京都府京都市西京区大原野上里北ノ町697-1
定休日
http://spontane.org/index.html
宮川町時代のビストロ スポンタネです。今はこんな感じで佇んでいますが、かつてはランチは2回転でしかもCPの強烈なお店であったことでも有名でした。そして結構ご存じの方も多いと思いますが、私の調理師時代の日本での師匠でもあります。その谷岡シェフのお店が完全移転されました。そんな流れもあり、通常★で評価をするのですが、あまりにも身内的なため今回は評価を☆(予想評)で掲示。あくまで参考程度にみていただけたらと思います。料理は宮川町とコンセプトは変わりません。
なにより大きく変わったのが建物です。これまでの宮川町の面影はなく、一挙にスケールもアップしています。まずは建物の解説をいたします。
洛西ニュータウンの手前の東山という信号が目印です。建物は地主をされていた方のもので非常に大きいです。敷地も宮川町時代とは全く違いますね。
入ってすぐ左の庭園。この右側に個室がひとつあります。
大徳寺の塔頭?と思わせる建物とのつなぎ。欄干が見えますね。日本建築の中でもかなり高級な部類に入るのではないでしょうか。
最大限にガラス窓が使われていて解放感があります。
玄関です。上は宮川町時代の看板ですね。そのまま使われています。かつては「ビストロ スポンタネ」今は「スポンタネ」で食べログで登録されています。
二人席で今回はこちらで食事をします。ただ普通に使うと4人でも十分ゆったりできるぐらいです。
二人席の後ろ側の部屋です。ここはまったく庭が見えませんが、調理場から一番近いのでそのメリットはありますね。
この日は私ら以外に8人の会席がありました。この大広間まだまだ収容人数が増やせます。10人以上でもまったく問題ないでしょうね。庭も非常に綺麗です。明るくそしてゆとりがありますので法事やイベントでも利用できそうな規模だと思います。
建物の最後はワイン庫です。大きい(喜)前は床下に収容されていたのでだいぶバリエーションも増えたでしょうね。
さてさて料理です。前振りながすぎ(笑)
☆☆☆ Bコース 5000円 ・季節のオードブル3品・スープ ・お魚料理・お肉料理(奥出雲牛のステーキ)
・デザート
★★季節の野菜 マナガツオ(塩焼き) 岩もずく(柚子風味)
とれたて♪というのもマダムの菜園からもってきたものです。ほとんどを自家農園でまかなうので根っこから野菜をご存知ですね。宮川町時代以上に新鮮さを感じます。塩焼きがアクセント。
★★★ フォアグラソテー 黒米のリゾット トリュフソース
スポンタネ常連ならおわかりだと思いますが、ほぼ定番の秀作。どの部分もちょうどいい感じに仕上がっています。この組み合わせは黄金比です♪
★★ トマト 五穀米 のパン
★★ クルミ バゲット
給仕はこの日はマダム。こちらからお願いすることはなかったです。パンは4種類。しかも好みのパンをある限りだして頂けます。
★★ 水蛸 赤玉葱 コリアンダーの花
これはスポンタネではあまり記憶のない蛸の料理。生に感じるぐらい風味が強かったです。お寿司のネタのごとく。。。面白い組み合わせですね。潤い十分でフォアグラの料理からあっさりの感覚に。
◎スープ 二種類ですが妻と私で別のものを出して頂きました。これについては基本1テーブル同じスープですが、状況によってはこのように別々に出せるとも。また予約時に確認を。
★★ ヴィシソワーズ
★★★ トマトのジュレ
スープは正統派とスポンタネ得意の野菜のジュレ。対照的なものですが、素材重視でぐいぐい迫ってきますね。特にジュレはやわく口の中ではスープに変化しますから食感も楽しめます。
★★ 別府湾 鯛 アスパラソバージュ オマール海老のソース
火が通った直後のジャストな仕上がり。オマールエビの上品な風味とともにアスパラをからめて頂きます。皮目も非常に旨味が濃縮されていて美味しいです。
★★★ 奥出雲の和牛 ジャガイモと玉ねぎのソース
付け合せの処理方法はやはり「スポンタネ流」♪
18番といいましょうか♪宮川町時代も同じコンセプトの付け合せです。これについては正直賛否はわかれるのかもしれないですが、この野菜の「ほとんど何もせず火を通す」なるコンセプトはスポンタネ流として今も生きています。バターソテーやバプールなどがポピュラーですが、そこまでさせない。だから栄養も旨味もなにも変化しない「スポンタネ」=「自然発生的」な現象なのです。
肉については「村沢牛」がくるかと思ったら、この地から別のブランドを使用するということになったらしい。新たな挑戦でもあると感じますね。ロゼ具合が絶妙で淵以外は温かいロゼを保っています。
ソースは食物繊維十分でこれをトンカツにかけると面白いとも思ったり(笑)しかしほんと。。野菜がこれでもかと追いかけてきますね~♪
★★★ バナナのシャーベット フルーツ ミントのゼリー
実はまだUPしてませんが「イルチリエージョ」にもジュレを主体にしたデザートがあります。これもなかなかすばらしいです。真上から見るとまるでオブジェのようです。器も冷たくひんやり。ああこの世の幸せかな♪このグラスはおそらく宮川町のお店では置けない大きさ。きっとシェフはここだからあえて大きなものにしたのかもしれませんね♪
★★ 珈琲
美味しいっす。そしてこのチョコレートのフォンダン風ケーキがそえてあります。プチフールには私弱いです(笑)
料理に関しては、コンセプトはまったく宮川町時代と変わっていません。丸のまま野菜を出そうとているような部分やソースには必ずと言っていいほど野菜のうまみが入っています。とくにメインの付け合せはなかなか万人向きではないのですが、そこがここの良さでもありますね。「自然発生的」まさにその言葉が浮かび上がります。変化した部分もあります。お皿ですがスケールアップしていますね。おそらく前の店舗には収容能力が少ないのと盛り付ける場所もなかった状況があります。今回はすべてにその余裕が感じられます。谷岡シェフがやりたかったことがここではすべてかなえることができます。料理人は常時シェフとスタッフ一人。確かあとは時間限定で非常勤がいると聞いています。調理場は前より2倍は大きいですが、二人用というぐらいコンパクトでした。
サービスですが、宮川町と同じでマダムですが、非常勤でランチには中野さんがおられます。ダンディーさ抜群の人気サービス人ですね。大きい施設ですが、まさしく少人数でされているので一日数組が限界でしょう。これからの展開はわかりませんが、そのあたり今回のお店は「ゆっくり時間が流れる」のを想定してサービスされています。気長にゆっくり。そして優雅にフランス料理を楽しめますよ。
今回評価は参考程度にお願いしていますが、宮川町時代になかったものがすべてここにあります。しつらえは恐らく京都のフランス料理店ではコンセプトは違いますが、MOTOIと並ぶぐらい豪華で空間の余裕もかなりのものです。マダムとシェフの永遠のタッグと理想的な空間で京都で注目されるお店になることでしょう。
(追伸)前店舗時代の宮川町のビストロスポンタネは最終評価は一つ星でした。料理については個性的だったものの、2回転ランチ、フロアのテーブルとの間隔が極端に狭く話し声もかなり気になっていました。ところが今回はまったくそれを感じない設計と余裕。師匠の店を評価することは正直特別な思いがあります。よって今回は異例の評価なしということにさせてもらいました。