★★★モトイ (MOTOI)
TEL 075-231-0709
京都府京都市中京区富小路通二条下ル俵屋町186
営業時間 全予約制。2名以上
ランチ 12:00~13:30(水・木休み)ディナー 18:00~20:00(水休み)
定休日 水曜日
ホームページ
http://kyoto-motoi.com/
これまでの記事です↓
http://archette.exblog.jp/15688632/
http://archette.exblog.jp/17032614/
http://archette.exblog.jp/15891635/
〇注 今回の料理の画像は主に昨年の秋のものです。
また本来コースになく個室仕様での特別料理の
画像もございますので、ご了承ください。
初訪問から定期的に伺っているMOTOI。最近特に満席でとれないことが多くなってきています。正直開店当初は数組の予約しか入っていない日もあって少々心配していたのはたしか。東京や大阪ではグランメゾンは当たり前。庭もあってワインセラーも壮大なお店が存在します。ところが京都は無いといっていいほど一つの基準をクリアーすること自体難しい状況でもありました。京都には和食を求めるという見方もあり、遠方から来てわざわざ洋食などは。。。という流れもありましたね。大きな資本が動かない町には大規模のお店が継続しにくい面もあるのでしょう。
MOTOIは今までの京都の標準的なお店の単価を超えています。さらに京都においてイメージ的にも理想的な個人宅をリノベーションして登場。まさに革命的なクラスで営業がはじまりました。もしこのお店がダメだったのならまたイタリアン優勢の京都のイメージが増幅されると。。。。
そして一つの結果がでました。
昨年ミシュランに掲載され過去滝本氏のホテルフレンチはあったものの個人店での掲載は初となりました。ミシュランは日本料理と蕎麦屋に優しいと言われあきらめ的な流れもありましたね。もともとミシュランはフランス、そしてフランス料理がメインのガイドですから当然ジャンル的に審査は一番厳しい。ミシュランの存在意義も賛否はあるものの、それでもフランス料理店が掲載されることは名誉なことだと思います。私も渡仏時代ミシュランの審査員と遭遇したことがありますが、その時(来たとわかって後で気が付きましたが)のお店の緊張感やシェフの動揺は忘れることができません。掲載されたことによりさらにこのお店を求める方が増えたことはまちがないでしょう。
東京フレンチと京都フレンチ
特に両方に理解のある方は比べることになるでしょう。ただよく東京のほうが。。。というお言葉を受けることがありますが、グルメタクシーではすこし不思議なご返事をします。
それぞれ別のもの。
立地した状況が違い、それを利用する目的もすこし違うのではないか。またフランス本土に真似るというよりどちらかというと京都という土地の優位性のある付加価値で、料理を提供する。だから東京の流れとは違うとお伝えします。パリとリヨンでは違うように東京と京都も違う。どちらも素敵だし優秀な料理人も多いともつけくわえます。MOTOIはそれこそ食べられる方によって感じ方が違うのは当然ですが、私の考えたことは下記に掲載しました。
当然「それはちがう」と言われるものもあるかと思いますが、これがすべてとも言いませんので(笑)また訂正すべき項目もあるかと思います。まだわからない部分も当然ありますね。では途中経過ということで。
◎すべてがメイン 付け合せはない。
違和感もあるでしょうが、実はメインディッシュというもののコンセプトがすべての料理に注がれています。野菜が主人公になる京都ですから、本来付け合せで提供される野菜でさえメインになる。フランス料理ではガルニチュールと言いますが、この意味合いがMOTOIにおいては薄いのかもしれません。だから「メインがガツンと!」みたいなお客様にはなかなか受け入れがたいものになるのでしょうね。
★★☆マナガツオのポワレ キプロスのオルゾ
魚料理ですが、野菜と同じ大きさをしています。ほぼおなじ。魚だけがメインではない感じがしますね。かといって両方の相性もいい。
★★★ シャトーブリアン 炭火 20種類の野菜 (個室仕様特別料理)
通常20種類の野菜が付け合せででることはない。20種類もメインということ。彩もよく当然火入れは個々に違う。これも肉と同じぐらいの大きさになっている。
◎時には豪快さ。
★★★ 北海道仙鳳産 カキフライ
中盤に出てくる料理、まったりと良質のベシャメルソースのような身の状態と塩気。そしてカリカリの揚げ衣。画像ででたほど大きくはないのですが見事に主張していました。フライといえどもご覧のとおり特殊な衣。このあたりの独創性もありますね。
◎京都ももちろん。
★★★フォアグラとしめ鯖 香ばしいゆり根を添えて
ちょっとびっくりするような取り合わせ。鯖は当然このまま鯖寿司になっても不思議ではない風味。それにフォアグラというのですから。。。シャンパンの香りとともにいただきます。冒険の料理のお皿にさりげなくゆり根。両方を実はとりもってる感じがします。黒胡椒で風味着け。当然分けてから食べるもよし。ゆり根はある意味京都の料理店で結構頻繁に扱う材料ですから。
◎デザートは技術は正統派 材料は奇抜。
★★Gewurztraminerのソルベ
★☆刃根柿のプリン
★★★幸水のティラミス テュイル コーヒーのグラスとマスカルポーネのソルベ
デザートは落ち着いた正統派になるが、材料は毎回奇抜なものがある。色合いも調和しているように思うし飾りもシックだ。味は申し分ないし提供のタイミングも外していない。
◎中華の要素もある
★★★すっぽんを二種類の料理で
コンソメのスープがまるで中華スープの濃厚版みたいな感じで提供された。料理学校で習った上湯を濃厚にしたという感じ。前田シェフは中華経験も長いのでそのあたりのメリットを付加しているように思う。
★★★杏仁豆腐のシブースト
間違いなく中華(笑)でも食べれば触感はフランス菓子。そして添えられた生のアーモンドなど奇抜を通り過ぎた逸品だった。杏仁豆腐の良さが別のジャンルで再登場といった感じ。
前田シェフの経験をすべてに生かしているという流れが食べれば食べるほどわかります。大阪でのフレンチ経験もそうですし中華も。どれも今の料理に反映しているからこそ独自性がある。フランス人はそこを評価して掲載したのかもしれないですね。東京と同じ感覚でみたのならまた違った評価になっていたのかもしれません。京野菜フレンチといえばエバンダイユが思い出されますが、ここは食材も北海道もあり「京野菜」という言葉も前面にはでないと思いますが、「京都に調和」した技術で構成されているように思います。でも表現は難しいですね。前田さんの料理と逃げればいいですが(笑)まあまだ料理についてはもうすこし通わないといけないですね。
◎サービスについて
画像は中村支配人です。この方がMOTOIの司令塔なのですが、お若くしかも独特の世界観をお持ちです。ど派手な身振りがあるというわけでなく、しゃべるしゃべるといった感じでもない。空気のように近づいて風のように去っていく。質問をしたいときには知らない間に近づいてくる。
サービスの原点は料理より目立ってはいけないことも重要。料理に集中させる環境を作らなければならない。それに徹しているのが中村支配人。伺う時にお酒に精通されている方と伺うのですが、その選択の正確さは秀逸とおしゃってます。私はお酒が全然だめなので自分で体験することができませんが、いつも最後まで悪い流れにならず気持ちよくお店を後にされます。お酒は店をでたあとも余韻がのこるそうで、あまり好みがあわないものだとか、いろんな意味で「きつい」ものだと料理そのものの印象が薄く消えてしまうそうです。そのあたりも吟味されて提供してくださるそうです。
支配人の周りにはシェフの奥様、シェフドランやコミも居ますが予約に忠実に配置換えをしていつも連携を密にされています。言づけや指示もほぼありません。まして叱責などは皆無(笑)混んでいても空いていてもおなじタイミングで料理が提供されるのには驚きます。
バチバチの黒服 ではなく ひかえめに優雅に
MOTOIには「ひかえめ」の美学があります。特に中村さん、マダムの前田さんは繁盛に至っても何一つ姿勢を変えられません。昨年末私がご紹介した雑誌の掲載の件でも雑誌のコンセプトに合うか吟味したいということでご返事を遅らせられた経緯があります。すべては周りの影響も考えてのことだと思いますね。食べログの評価もよく総じてうなずける答えが書かれています。サービスも料理も「どうだ!」という声は見えません。でも「どうですか?」という丁寧さがにじみ出ている。前田シェフのコンセプトはご本人しかわからないことですが、そのあたりのニュアンスは行った人なら十分わかると思います。京都で本来のあるべきフレンチを思い出させてくれる素敵なお店だと思いますよ。
昨年末にでたシェフに料理長が載ってます。
ご参考に!
これからも京都を代表するフレンチで
いてほしい。それにはもっと皆さんの訪問が
必要なのかもしれない。
何かを感じて支配人やマダムやスタッフに
言葉を残していってください。
さらに今以上に素敵なお店に進化すること
でしょう。
とりあえず次は二つ星(笑)
そう遠くないことだと思います。
MOTOIに学ぶ京都フレンチ これにて終了♪
2013/01/24
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(京都グルメタクシー」をご紹介頂いております!)
◎京都グルメタクシー
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