後編でございます♪
前編は
こちらよりどうぞ。
正直2000年から掲示板からはじまった評価記事ですがここまで長く書いたことがなかったでしょうね。記録的な長さでどうぞ気楽に読んでくださいね(^o^)
★★★ 祇園MAVO (ギオンマヴォ)
075-708-6988
完全予約制ご予約受付時間
9:00-11:30 15:00-18:00 22:00以降
京都府京都市東山区下河原通上弁天町440 舞風館 1F
営業時間12:00~ 18:30~(完全予約制)
定休日火曜日
http://cuisinelamatiere.wix.com/mavo
〇 ほうじ茶+4種の香草(シナモン、クローブ、マロー(ドライフラワー)、ねずの実)
最後の6杯目。みるからにメインの肉料理を意識した色だと思います。ドライフラワーのマローという素材で色付けされていると聞きますね。当然湯気がでてますので温かいお茶です。これは味もなんとなく赤ワインににているように感じますが、すこし刺激的でシナモンとクローブの香りがします。このワイングラスがとにかく大きい(笑)その分香りがまわりまくっています♪
★★★ 鹿児島出水コルヴェール 松ぼっくりフュマージュ
ジビエがでました~。このワイルドな青首の鴨は久々でして。。。。ちょうど焼き上がったところを持ってきてくださったのですが、???うん??さらに香ばしい樹木の香りとおもったら「松ぼっくり」ですか。。。実はシェフのスペシャリテ的技法だそうですが、キャンプぐらいしか試したことないので少々ビックリ。たしかに添加材として意外に活躍する木片ですので燻製にも使えないこともないですね。肉質は決して柔らかくないですが、非常に濃厚で血もソースのように濃度があって滴りおちています。皮目がまた美味いです。ソースヴァンルージュ。。。正統派、極めて濃厚なソースですが塩分はそれほど感じませんでしたが十分旨味がのっていますね。ローズ色といいますか、鮮やか♪
(mavo tea pairing) ★★★ 満点 6杯目 色から察して恐らく疑似赤ワイン的な役割がこの6杯目にあるのではないでしょうか。ジビエにぴったりなお茶です。もっとも色気ある味と表現したら変かもしれませんがいろいろなフレイバーを少々感じてその基礎には今まででてこなかった「ほうじ茶」ですね。私は日本茶のなかでも一番頻度が高く飲んでいるものですので、個人差があるのかもしれませんが私好みなのは確かです。総合的な総評は後程ご紹介しますね。いや。。。それにしても語り足りないところがあります(笑)
★★★ dessert pomme 林檎
オレンジ基調のデザートです♪タルトタタン キャラメル風味 アイスクリーム ゼリー 林檎のテリーヌ(減圧)とメモにかいてありまして、ちょっと精度ないですがボリュームも非常にありましたね。ソースがたしかカルバドスでとどめさされました(笑)林檎香る非常にまとまりのある作品です♪
★★ 小菓子
かわいいお庭のようですね。それぞれ特徴あるものが入っておりました。このあたりでデジカメのバッテリーが切れてしまったので同席者のスマホから頂きました。
★★★ 珈琲
ティーペアリングは終わりましたが、まさか珈琲がこのグラスで入ってくるとは思いませんでした。実はワイングラスで頂くのは初めて。。。。ワインの嗅ぐように試してみると強烈なコーヒーの香りが充満しておりました。これをSNSでご紹介したら、飲食店の方から私のお店でもグラスでだしますと。。。結構やってるひとはいるのですね。
ちなみにこの珈琲は西村シェフ直々に入れられたのですが、その作業の間すこし見させてもらってましたが、非常に丁寧に入れられていますね♪時間をかけてじっくりと確実に。。お茶も繊細だし珈琲も同じように大切に入れられてました。とても美味しかったです♪
////////総評//////////////////////////////////////////////////////////
①★★★mavo tea pairing 彩”aya”
はじめての体験
これは意図的に少し残して6杯分を比較したものです。ワイングラスのメーカーにも今回のペアリングの件を相談されたそうです。並べても芸術的な彩りですね。実はこれをするとお茶は冷めるとある意味、茶師の理想とは離れて別物に変わりますのであまり望まれたことではないかもしれません。ただこの冷めたあとのお茶を飲み比べすると非常に特徴が異なる飲み物だったと気がつきます。それと色合いはayaのもう一つの特徴かもしれませんね。
色で物語る味の色彩とでも言いましょうか♪
〇茶師の存在 老舗抹茶店の協力
西村シェフの発案のもと老舗抹茶専門店の協力を得て、茶葉のブレンドや最終調整は茶師の四宮あやさんがされたそうで、そのお名前から「aya」に命名されたそうです。今回、6種類を料理と共に飲みましたが、水を飲むという行為とは全く別の世界ものであるとわかりました。単にお茶を提供するのではなく料理との一体感や料理の技術や食材を際立たせるための加減を行ったり多彩な表現があったと思います。
減圧加熱調理機ガストロバックでの減圧抽出玉露
蒸留抽出機アランビックでのエッセンス抽出
スパークリングビネガーハーブティー 5℃
sencha/煎茶 18℃
mitutoucha/蜜桃茶(中国茶) 18℃
genmaicha/玄米茶 55℃
kabusecha/被せ茶 25℃
gyokuro/玉露 25℃
houjicha/ほうじ茶 55℃
(祇園MAVO FB記事 2014/11/18 引用)
緻密に計画されて提供されるのですから、料理の流れのなかで給仕は大変だったのではないかなあと思いました。温度管理は恐らく20度~60度ぐらいの差があって料理が出る前に必ず出さないといけないし、冷め具合も計算にいれて提供するわけですから。。。ある意味ワインのようにボトルごと管理するのとはちがうでしょうね。マダムや四宮さんの解説はわかりやすくお茶の流れもよくわかりました。
〇茶師の役目
担当の四宮さんはティーペアリングのときに説明の為にかならずこられます。わかりやすい説明と必要ならば入れた素材の現物をもってきてくれたりしますが、非常に勉強されておられるので素材以外の話題になっても色々と教えてくれます。茶師というポジションを設定していることも特別な部分ですね。
〇お酒を飲めない人はさらにおススメ。
私は最近ちょっとだけ飲むようにしていますが、正直まだワインを好きというところまでは。。。。私を含めそういう方は正直ワインの変わりとなると水ですよね。ガス有がガスなしかの選択しかなかった感じで、ワインを飲んでいる人を眺めているだけのような時間もあったのかもしれません。ですが、今回のティーペアリングはワインに匹敵する奥深いものがあり、人を楽しませテーブルを賑やかに飾ってくれます。ある意味ワインを飲む人より目立っていることも非常に感じられました(笑)
〇これからのティーペアリング
現状は6種類のお茶を提供されていますが、これから楽しまれた方が増えてきて要望も、もしかしたら出てくるかもしれません。 ワインを人は選ぶようにお茶にも好みがあるのでそれをどう解釈して発展させるかということもありますね。美容、薬膳、そしてリラクゼーションもお茶やハーブには影響あると考えます。目に見えない効能も期待したいところです。
〇ペアリング ワイン
今回私はティーペアリングを試みましたが、同席者お二人はワインのペアリング(テイスティング)をされました。こちらは他のお店でもされているところがありますが、非常にワインに精通されているだけに今回の評価が気になっておりました。結果非常に良好でマッチングは優れているということでした。とくに何度か料理とともにワインを試されるのですが、声にでるぐらい相性のいい組み合わせがあったそうです。ティーだけじゃなくワインも期待できますね♪
②祇園MAVOの料理
ヌーベルキュジーヌ、とりわけ飾り付けに個性を出すお店が増えてきていますし、ソースも煮汁をメインに軽く仕上げる程度の軽い料理が増えてきていますが、正直ここはいい意味でそのヌーベルと呼べない部分が多いです。確実に正統派の技法で素材を調理するということです。ワイン主体のソースやロティーも非常にクラシカルな部分が多いです。古い料理技術というより素材重視で考えれば古典的な調理方のほうが最終的に美味しいと私は考えているだけに、ここはその路線を基に西村シェフの経験を上乗せして感性で料理を作られているように思います。塩分は薄いこともなく濃いこともなく理想的な状態で提供しているし、胡椒や香草も必要以上に使用することもないですね。ですので思ったよりは重くならなく食べやすいわけです。まさに理想的な味付けで、コースの流れが非常になめらかで前後の関連性があります。
そして、彩りがなんとも優れていて語りかけてくるような。。。。料理そのものはコースの流れがしっかりついていますが、実は色はなかなか目を見張るものがあります。
●料理のイメージカラー
①白 ②多彩 ③緑 ④茶 ⑤青(皿の色) ⑥多彩 ⑦紅 ⑧柑
●ティーペアリング
①赤 ②薄茶 ③濃緑 ④薄緑 ⑤緑 ⑥赤
色が変化するということはやはり「サプライズ」的なものであり、「リセット」できる最も有効な手段だと思います。あと香りもそうですね。肉にはワインというのも見た目飲み物が「赤」だとちょっと安心するのかもしれません。そのあたりのティーペアリングの6杯目は「視覚効果」もふくめて赤くしているのかもしれないなあと考えています。抹茶のベニエの真緑、そして野鴨のロゼの肉の断面の色はコントラストとして今でも脳裏に焼き付いています。
そしてやはり毎日コースの料理を変えている点です。これはスタッフにとっても非常に器用な調理を要求される設定でして、私も週替わりの料理を料理人時代担当していましたが、それでも仕込み等大変でした。毎日変わることは「四季」を感じさせる上で最もアピールできる手段だと思っていますが、これを毎日続ける努力は計り知れないものがあると感じます。ですので毎日通っても楽しめるレストランであることは間違いないです♪
③祇園MAVOのサーヴィス
西村シェフを筆頭に構成されたメンバーですが、適材適所に忠実に人事が行われていると思います。まずはマダムの存在が最も感じられます。マダムとしての経験も豊富で、とっさの質問にも的確にお答えされます。他のスタッフもサービスにとってタブーの「調理場問い合わせ」がなく、スマートに返答されます。そして「間を開けない」努力がありますね。生ハムやロティーでの過程を見せてくれたり、茶葉や原料をもってきてくれたりして料理に対しての情報をその都度タイミングよく紹介してくれます。面白い資料があります。。
これは21日に伺ったときのデジカメの撮影の詳細です。ほぼ10分おきに何らかの料理やティー、そして会話の為に何かをもってこられたときに撮影するわけですので、その時刻がそのまま表の時刻に表れています。その提供の間隔が一定で、20分なにも持ってこないということがありませんでした。よく料理が滞ると一挙に料理が不規則にくるお店がありますが、この日は満席だったにも関わらずまったくその「渋滞」的な間合いがなかったです。そして押しつけの会話ではなく、テーブルだけの会話が必要なときはつかず離れずタイミングをしっかり取られます事を付け加えておきます。
料理と料理の間隔がたとえあったとしても、
それをカバーするだけのサービス技術がある。
ということでしょうね。玄人(プロフェッショナル)だと思います。マダムの統制力は様々な影響がでます。西村マダムは時間を通して笑顔で、時にはお笑い系なご返事を頂いたりと万能です。きっお客様一人でもしっかり楽しませてくれるって思いますね。そうそう一人で思い出しましたが、カウンターも実は利用できるそうです。調理場がしっかり見えるので一度そこでも頂きたいなって思っています。
④調理場の環境
調理場が非常に広いです。おそらく例がないぐらい広い。オープンキッチンと言ってもいいのではないでしょうか。狭い調理場は料理にも制限が生じますし、フレイバーが映ってしまう弊害も生じます。おそらく床面積で3割以上は調理場のように思ったりもします。マダムにお聞きすると「シェフが広さをもっとも要求していた」と。普通の経営者ならフロア面積を広げれば、それだけ収益があがるので出来るだけテーブル席を置きたがるわけです。そうなると調理場は狭くなり換気設備の不備や仕込みに使う機材が最小限になって料理人にそのしわ寄せがいってしまいますね。労働環境というものですが広い調理場なら気分もかわります。そのあたり利益を無視してても働く人を優先していることがわかります。若干シェフの真剣な指導が漏れ聞こえることがありますし、料理長のお客様に対する視線がはっきり伺えます。おそらく調理場から容易に観客席が見える構造もこの広さになったのかもしれませんね。一度働いてみたいと思うぐらい綺麗な調理場です♪(^o^)
⑤京都でのフランス料理店のなかの 祇園MAVO
今ではミシュランの星も5軒になり京都のフレンチがますます注目される存在となっています。その中で間違いなく6軒目に星をとれるお店だと思っていますし、これからの京都フレンチの鍵をにぎるお店の一つであると考えます。京都の中でもここまでお茶にスポットを当てたお店があったかどうか。。。。それだけ方向性は特殊なものと思います。西村シェフを応援される方に茶業関係者も多く、歌人の林和清さんもプロデュースに加わったと聞きます。またもちろんシェフやスタッフの感心もお茶にあるとわかります。ティーペアリングはその最も代表とされるサービスだと思いますので、是非これからも京都の歴史や時代に即した技法で、最終的に西村シェフの感性でまとめて頂きたいですね。将来が楽しみですね。
最後に
matiere+evolution
25年間の集大成の場として
10年ぶりの京都へ
またこの地でも日本の美を学び
感覚を養い 常に進化し
多くの方々の心をあたためられる
料理作りに精進していければと
考ております
僕にとっての進化とは
先々に進む事ではなく
時代の流れを汲み
いち早く順応する事という解釈でおります
(祇園MAVO
公式サイト 引用)
私はこの公式サイトの西村シェフの
コメントに深く感銘を受けました。
祇園という町の歴史とシェフの感性が
一体化してこれからも活躍される
だろうと思っていますし、京都もそれを
望んでいるのではないかと思っています。
素敵なお店としてこれからも是非
ご活躍期待しております。
京都グルメタクシー
岩間孝志
END